「仕事と育児の両立」は子育て世代に共通する重要なトピックです。
私たちが暮らす日本では、1986年の男女雇用機会均等法の施行を一つの区切りとし、以来、性別に関わらずそれぞれが自分の能力・スキルを発揮できる社会を実現するべく環境整備が漸進的に行われています。
今でも「仕事と育児の両立」は重要な政策課題の一つとして位置づけられています。
今回は、働きながら育児をするワーキングマザー事情を中心に、
他国の統計も交えながら関連する英語表現をご紹介します。
Working Motherとは?
working motherとは、workingがmotherを修飾しており、その語句の通り、「働きながら育児をするお母さん/母親」を意味します。お父さん/父親であれば、working father、両親を指す場合はworking parentといった形で表現します。
以下、関連表現を例文とともにご紹介します。
〇strike/find a balance between work and parenting(仕事と育児を両立する。)
〇Striking a balance between work and parenting is easier said than done. (仕事と育児の両立は言うのは簡単ですが実行するのは難しいです。)
〇breadwinner(大黒柱、稼ぎ頭※)
※欧米の主食はbreadなので、それを獲得する人(winner)から派生してできた語句のようです
〇My mother has been a breadwinner since my father was unable to work after a traffic accident.(父が交通事故により働くことができなくなって以来、母が一家の大黒柱です。)
〇dual-income/double-income household(共働き世帯)
〇The recent survey shows that the housing rent in urban cities keeps on soaring even to the extent that dual-income households cannot afford.(最近の調査によると、都心部の家賃は共働き世帯が手に届かない水準にまで上昇を続けている。)
日本と各国のワーキングマザー事情
さて、本題の世界のワーキングマザー事情について、OECD Family Data Base(https://www.oecd.org/els/family/database.htm)が公開している関連統計を参照しながら、トップ5の国及び日本の順位を見ていきたいと思います。
ここではワーキングマザーに関連する指標として、①母親の就業率、②フルタイムで働く女性と男性の賃金の差、③父親が育児休暇として取得することが可能な休暇週数といった3つの指標に着目しています。
①母親の就業率(少なくとも一人以上の子供(0-14歳)がいる女性(15-64歳)の就業率)はヨーロッパの国が上位を占め、日本はOECD平均より低い第26位のようです。
【OECD平均】70.9%
1位|アイスランド(86.7%)
2位|スロヴェニア(88.6%)
3位|スウェーデン(86.1%)
4位|ポルトガル(83.8%)
5位|デンマーク(81.7%)
26位|日本(70.6%)
②フルタイムで働く女性と男性の賃金の差は(男性の賃金の中央値-女性の賃金の中央値)/男性の賃金の中央値)で計算される値で小さいほど性別間の差がないことを表しています。
南米のコロンビアを除き、ここでもヨーロッパの国が上位を占め、日本は第43位と男女間の賃金に格差があることが読み取れます。
【OECD平均】10.3
1位|ブルガリア(2.6)
2位|ルーマニア(3.3)
3位|ルクセンブルグ(3.4)
4位|ベルギー(3.8)
5位|コロンビア(4.6)
43位|日本(22.1)
③父親が育児休暇として取得することが可能な休暇週数
日本は韓国と並び約1年ほどの育休を取得することができ、取得可能期間という観点では充実した制度が整備されているといえるようです。ただ実際の取得率については厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r03/07.pdf)」によると、男性は13.9%、おおよそ7人1人しか取得しておらず、制度が整備されていても活用されている状況ではないことがうかがえます。
【OECD平均】7.2週
1位|日本(52週)、韓国(52週)
3位|ルクセンブルグ(26週)
4位|フランス(26週)
5位|ポルトガル(17.3週)
これら3つの統計だけでも、国によって事情が異なるようです。
<関連する英語表現>
〇maeternal employment rate(母親の就業率)
〇gender pay gap(男女間の賃金ギャップ)
〇paternity/maternity leave(父親/母親の育児休暇)
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はワーキングマザー事情を国際統計を交えながら紹介しました。
SDGsでも掲げられているように、ジェンダーに関わらず、だれもが活躍できる社会を実現することが国際社会の目標の一つであり、また「育児や子育て」に関する課題はどこの国でも大事なトピックの一つです。海外の方との日常会話で話すネタの一つとして、今回の記事で登場した語句・表現を参考に、外国のワーキングマザー事情や子育て関連の諸制度について、意見交換をしてみてはいかがでしょうか。