言語を習得する仕組みを理解しよう!
これまでの記事で、テスト自体に学習効果がある「テスト効果」(testing effect)についてご紹介いたしました。(以下参照)
【関連記事】テスト効果とは?これだけで効果が抜群に上がる学習法
今回は、このテスト効果を活用し、更に効果を上げることができる具体的な学習方法について、研究結果に基づきながらご紹介いたします。
皆さんは、「累積テスト」と「非累積テスト」という言葉を耳にしたことがありますか?ほとんどの方にとって聞きなれない言葉なのではないでしょうか。
「累積テスト」とは、その名の通り出題範囲が累積的に(次々に積み重ねるように)増えていく形式のテストを指します。
「非累積テスト」は、それぞれの出題範囲に重なりがない形式のテストを指します。
例)
中間テストでは学期の前半で学習した内容が出題され、期末テストでは学期の後半だけでなく前半でも学習した内容が出題される時、出題範囲は一部重複している。 ⇨ 「累積テスト」
中間テストでは学期の前半で学習した内容のみが出題され、期末テストでは学期の後半で学習した内容のみが出題される時、出題範囲は重複していない。 ⇨ 「非累積テスト」
立教大学 中田達也准教授(異文化コミュニケーション学部・異文化コミュニケーション研究科)の研究により、累積テストのほうが、非累積テストよりも学習の促進に効果があると証明されています。
研究内容は以下の通りです。
薬学部の大学生72名を非累積グループと累積グループとに割り当て、8週間にわたって80個の医学用語を学習しました。
1週間に1回授業を行い、毎回80個の医学用語のうち10個が英単語で導入されました。
翌週の授業で、学習した単語に関する小テストを行いました。
非累積グループでは、前の週で導入された10単語が次週の小テストで出題し、累積グループでは、前の週で導入された単語だけでなく、それ以前の授業で導入された単語も出題しました。
この8週間の研究期間の3週間後に事後テストを行い、学習効果を測定しました。
結果、累積グループの得点が非累積グループの得点を3.4倍も上回っていました。
この研究結果から、短期的に学習を促進する学習法が、長期的な記憶保持を促進するとは限らないということがわかります。
引用:【研究結果】単語テストを累積的にするだけで英単語学習が3倍以上促進される
テストの出題範囲を累積するだけで学習効果が大きく変わるというのは、非常に有益な研究結果です。
英単語学習の際に、ご自身で簡単な単語テストを取り入れてみるなど、是非あなたの学習にも活かしてみてはいかがでしょうか。
単語テストをする際は、新しく学んだ単語だけでなく、以前行ったテストで確認した単語も出題範囲として学習、つまり「累積テスト」を意識するとより効果的です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?繰り返し学習することが大切であるということはご存知の方も多いかもしれませんが、何度も同じ範囲をテストすることが記憶の定着に役立つという研究結果については驚きですよね。
是非この機会に是非、今後の学習に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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