仕事上のやり取りをする中で、交渉が難航してしまうことってありますよね。難航した交渉を成立させたい時、どうしてもネイティブがビジネスで使う丁寧な表現が不可欠となってきます。よく英語では、要求をストレートに伝えた方が良いなどと思われがちですが、実際は日本語でのビジネスマナー同様、少しオブラートに包んで伝えた方が、その後の交渉がスムーズになるといった状況がたくさんあります。
今日は交渉が難航した時に、英語でのビジネスマナーに沿って使えるフレーズをご紹介します。
1.相手の提案に同意出来ないことを伝える時に使えるフレーズ
①I am afraid I have something different in mind. (残念ながら、私は違った案を考えています)
提示された提案や要望に対して、自身の意見を最初に示す事は、英語の交渉において何よりも大事です。
ただし、ビジネスシーンにおいて、ただ“No”と答えるだけでは、良くない印象を与えてしまいます。
センテンスの前に、「I am afraid 」(残念ですが)などのフレーズを入れる事によって、少し和らいだ形で、不賛同の意思を示す事が出来ます。
②I understand where you’re coming from, however~(あなたの仰っている事は分かります。ただ…)
「相手の主張に私は同意していないけれど、理解は出来ます」という事を伝えたい時に使える、英語では定番のフレーズです。
相手に「この人は私の言っている事が理解出来ていないのでは?」「この人は私の主張を聞く気がないのでは?」と思わせないためにも、交渉の中で使っていきたいフレーズです。
また、相手への理解を示す事でその場の雰囲気も和らぎ、後の交渉をスムーズに運ぶ事が出来ます。
2.相手の誤解を正す時に使うフレーズ
①There seems to have been a slight misunderstanding. (どうやら誤解されている部分がある様です)
交渉をしていく内に、認識のすれ違いや誤解が生じる事はよくあります。そんな時、あまり波風を立てず、相手の間違いや誤解を指摘したいですよね。そんな時に使いたいフレーズがこちらです。
いきなり「That’s wrong!」(それは間違っている!) などと、ストレートに指摘してしまうと、せっかくうまくいきそうな交渉も決裂しかねません。
他にも「Perhaps」(おそらく、もしかしたら)を使って、 「Perhaps I am not making myself clear」(もしかしたらはっきりと伝わっていなかったかもしれません)など前置きしてから、誤解を正すと、その後の会話もスムーズに運びます。
②I just want to make sure I got this part straight. (この部分について、正しく理解しているか確認させてください)
相手の主張が自分の認識とどうも違うな、と感じた時や相手の提案で不明瞭な部分があった時に使えるフレーズです。
英語での議論では、曖昧なまま話しを進めてしまうと、相手から不誠実だと見られかねません。必ず会話の途中でも遠慮せず、分からなかった部分は聞き返していきましょう。
3.自分の提案を主張する時に使うフレーズ
①Here’s what I can offer you instead. (代わりに私が提案出来るのはこちらになります)
相手の提案を一通り聞いた後、自分の代替案を提案する時に使えるフレーズです。
いきなり提案を話し出すよりもこのフレーズを挟む事によって、相手も話にすっと入りやすくなります。
他に「I propose that…」(〜を提案します)、「I think the best way is to…」(ベストな方法としては〜)等を使って、自分の提案を主張していきましょう。
4.交渉が行き詰まった時に使えるフレーズ
①May I suggest making a fresh start all over again? (もう一度最初からやり直しませんか?)
「all over again」は最初からやり直してという意味の慣用句です。
②Why don’t we unwind this deal and then start over again? (このもつれた取引をほぐして、もう一度やり直しませんか?)
「unwind」には巻かれているものをほどくという意味があり、物理的なものだけでなく話し合いを仕切り直すというような使い方もできます。
③It’s obvious that we are not happy with the current deal. Let’s talk about the conditions from scratch?(現在の取引に満足していないことは明らかです。条件について最初から話しましょう)
「from scratch」は(作業などが)最初からという意味のイディオムです。
5.妥協案を提案する時に使うフレーズ
①Are the terms still negotiable? (条件については交渉の余地はありますか?)
条件などに関して、「まだ交渉の余地がありますか?」とその可能性を尋ねるときの表現です。
この他にも「Is there any room left for further negotiation?」(まだこれから交渉に少しは余地が残ってますか?)とも言えます。
「negotiable」はこの他「Is the price negotiable?」とか、「Is the schedule still negotiable?」のように、「値段」とか「予定」など他の言葉にも用いられます。
②Could you meet us halfway? (お互い譲歩しませんか?)
直訳すると、お互いのいる場所の中間地点で会いましょう、という意味になり、待ち合わせをする時に使う言葉ですが、金額やビジネス案の交渉にも使う事が出来ます。
例えば相手が提示してきた金額と、自分が主張している金額に大きな開きがある時などに、
「Could you meet us halfway, at $10 per box? It’s too low. 」(お互い譲歩しませんか?1 箱につき10ドルでどうですか?提案金額はちょっと低過ぎます。)
などの様に使って、金額を交渉してみましょう。
③I may accept your offer on condition that…(〜の条件であれば提案を受ける事が出来ます)
交渉していく中でどうしても譲れない条件を除けば、残りの提案は受ける事が出来そう、といった時に使えるフレーズです。
すぐにYESとは言いたくないけれど、条件によっては交渉成立が出来そうな時に使いましょう。
他にも「I can accept that if you…」(あなたが〜してくれたら、提案を受け入れる事が出来ます)、「I could offer you… if you can agree on… 」(〜に同意して頂ければ、提案を受け入れる事が出来ます) 、なども使えます。
④In exchange for [A], would you agree to [B]? (Aの代わりに、Bはどうですか?)
提案された条件に対して、妥協案を提案したい時に使えるフレーズです。
他にも、相手の案に100パーセント満足してはいないけれど、この妥協案だったら受け入れますよ、と言いたい時に使うフレーズとして、「We need [A], but we’ll accept [B]. 」(本当はAが希望だけれど、Bでも提案を受けます。)や、「Although we wanted [A], I think we can still work with [B]. 」(本当はA案が理想ですが、B案でも何とかする事は出来ます。)などがあります。
6.「ここだけの話」で関係を深める時のフレーズ
①This is just between you and me. (これはここだけの話ですよ)
②This story stays in the room. (これはこの部屋だけの話です)
③This is for your ears only. (これはあなたの耳にだけ入れておきたいんですが)
④I’ll tell you this anonymously. (匿名の話を言いますね)
7.交渉を最終的にまとめる時に使うフレーズ
①That seems acceptable/reasonable to me (その提案なら受ける事が出来そうです)
最終的にお互いの妥協点が見つかって、交渉がついに締結出来そうな時に使えるフレーズです。
他にも「I think your proposal is acceptable.」(あなたの提案は受け入れる事が出来そうです)や、「I think we have a deal」(その提案で手を打ちましょう)などのフレーズを使って、提案を受け入れる旨を伝えましょう。
②I’ll get back to you on this (それについてはまた改めてご連絡します)
難しい交渉になると、全ての要求に対してその場で結論が出せない事がありますよね。そんな時に使う定番フレーズがこちらです。
また、相手の質問に知識不足で答えられなかった場合、分かりません。と正直に言ってしまうと、あなたの立場が弱くなってしまいます。
そんな時には、「I don’t know exact answer, let me check it and I’ll get back to you as soon as I can. 」(それについては直ぐにお答えする事が出来かねます。すぐに確認して改めてご連絡いたします)と答えましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ご紹介した通り、ビジネスの場面においては、日本語の様に相手に失礼のないよう婉曲的な表現を使う事が重要です。
今日ご紹介した表現を覚えて、実際の交渉時に利用できると良いですね。