効果抜群?思い出すだけの学習方法とは
スパトレでは、第二言語習得論の知見を活用し、英語力を身につける世界初のオンライン英会話サービスを提供しています。
あまり馴染みがないかもしれませんが、「第二言語習得論」とは、母語以外の外国語を習得するメカニズムを解き明かして、効果的な外国語の習得方法を見つけるための学問・研究分野です。
スパトレはこの第二言語習得論を基礎に、効果的に英語を習得できるようカリキュラムの考案をしております。
今回は、第二言語習得論でも学習効果が驚くほど上がると証明されている「テスト効果」についてご紹介させていただきます。
単に聞いたり書いたりした情報に比べ、情報を思い出した(検索した)情報のほうは記憶に残りやすいとされています。これを、「テスト効果」と呼びます。
思い出したり、頭の中で自分の持っている知識を検索するという行為をすることで、記憶が強化されます。テスト効果は「想起学習」とも呼ばれています。
テスト効果は、数々の研究によってその効果を証明されています。
中でも、今回は、認知心理学者である米国ワシントン大学のヘンリー・ロディガー教授とパデュー大学のジェフリー・カーピキ教授が行った研究結果を用いてご紹介します。(*)
(*)Roediger, H. L., & Karpicke, J. D. (2006). Test-enhanced learning taking memory tests improves long-term retention. Psychological Science, 17, 249–255.
彼らの研究では、アメリカの大学生が「太陽」や「ラッコ」などに関する英文テキストを読みました。この研究では、以下3つの条件を設けました。
(1)繰り返し学習条件
(2)テスト条件
(3)繰り返しテスト条件
この3つの条件をもとに、それぞれの効果が比較されました。
実験の5分後と1週間後に、英文の内容をどのくらい覚えているかを測定するテストを行いました。
5分後の正答率は
(1)繰り返し学習条件が83%で最も高く、
(2)テスト条件が次いで78%、
(3)繰り返しテスト条件が71%で最も低い、
という結果になりました。
一方、1週間後のテストでは
(1)繰り返し学習条件が40%で最も低い、
(2)テスト条件が次いで56%、
(3)繰り返しテスト条件の正答率が61%と最も高い、
という全く逆の結果が得られました。
この研究結果は、あるテキストの内容を記憶に定着させたい場合、「英文を繰り返し読む」(繰り返し学習する)よりも、「英文の内容を繰り返し思い出す」(繰り返しテストをする)方が効果的であることを証明しています。
つまり、英文の内容を思い出すというテスト自体に学習効果があるのです。これが「テスト効果」と呼ばれる現象です。
このテスト効果は、外国語の単語学習においても効果があると確認されています。
英単語学習の際、英単語の部分を隠してまず和訳だけ確認し、その和訳から英単語を思い出す、という方法はいかがでしょうか。
英単語学習にも、このようにテストの要素を持たせることで、記憶への定着が飛躍的に高まることが期待できます。
暗記シート(※1)を使用した学習法も有効的です。また、単語カード(※2)を使用することでテスト効果を期待できます。
※1 赤色の透明なシート。緑色のマーカーで隠した字を見えなくしたり、赤色のペンで書いた字がこのシートの上からだと見えなくなります。記憶したい部分を隠しながら学習することで、テスト効果を期待できますね。
※2 表に英単語、裏に和訳を記載したカード。
テスト効果は単語学習のみならず、文法や発音学習にも取り入れても効果的です。練習問題を解いたり、実際に文法を使った作文や発音の練習など、実践的なテストの要素を取り入れてみるのも良いかもしれません。
まとめ
「テスト」というとネガティブなイメージをお持ちの方も多いかもしれません。ただし、この「テスト効果」は、実際には皆さんがイメージされているような厳しいものではなく、日常的にも大変取り入れやすい学習方法ではないでしょうか。同時に、記憶保持を飛躍的に高める非常に効果的な学習方法もあるので、この機会に是非実践してみてはいかがでしょうか。
最近では、AnkiやMemriseなど、無料の単語学習アプリも数多く開発されています。まずは、身近なところから「テスト効果」も取り入れた学習を始めてみても良いかもしれませんね。
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