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2言語を操る話者をバイリンガル、3言語をトライリンガル、それらを総称してマルチリンガル等と言ったりしますが、複数言語の運用能力を有することは現代社会においても非常に重宝します。

英語1つ例に取ってみても、インターネット上の膨大な情報の大半は英語で記述されており、科学分野・技術分野の最新の結果や論文も英語で執筆されることが多いです。

即ち英語が理解できるだけで、世界中の最新ニュースや研究成果、メディアコンテンツに直接アクセスすることが可能になります。英語の運用能力が高まれば、職種によってはプロフェッショナルとしての機会や選択肢、展望も広がり、海外移住や進学等ライフチョイスも大幅に増えるでしょう。

 

実はバイリンガルであることに対しては、上記社会的・経済的優位性のみならず、脳科学的・身体的な優位性も広く報告されていることはご存知でしょうか。

高齢認知症の最大の要因とされるアルツハイマー病ですが、その患者を2言語以上を日常的に運用しているバイリンガルと、1言語のみを話すモノリンガルのグループに分けて、それぞれのアルツハイマー発症時期を比較した実験が複数回実施されています。

結果としてバイリンガルグループの方が、モノリンガルグループと比較して平均約4〜5年程度アルツハイマー病発症時期が遅いことが判明しています。実験グループは日常的に複数言語を運用することで脳への血流が増加し認知能力が向上する可能性を仮説付けています。
(Craik, Bialystok, & Freedman, 2010)、 (Woumans, E., Santens, P., Sieben, A., Versijpt, J., Stevens, M., & Duyck, W., 2015)

更にMS(多発性硬化症)という難病に起因する認知能力低下を、バイリンガルであることである程度無効化できる可能性が最新の研究で報告されています。モノリンガルの多発性硬化症患者グループと、バイリンガルの同病患者グループの認知能力タスクを比較した際に、前者は健康なグループと比較して、大幅な認知能力低下が観察されたものの、後者は健康なグループと遜色ない結果を出したという驚愕の研究です。
(Aveledo, Fraibet & Higueras, Yolanda & Marinis, Theodoros & Bose, Arpita & Pliatsikas, Christos & Meldaña, Ariana & Martínez-Guinés, Maria & García-Domínguez, José & Lozano-Ros, Alberto & Cuello, Juan Pablo & Goicochea-Briceño, Heidee., 2020)

まとめ

勿論、上記はあくまで研究結果であり、必ずしもバイリンガルであることがアルツハイマー病や多発性硬化症対策になることを結論づけるわけではありません。しかし、複数言語を使用することが脳科学的・身体的な健全性に貢献している可能性は少なからずありそうです。「脳の健康のためにも英語学習を頑張る」というモチベーションもプラスして、今後の英語学習に取り組んでいかれてはいかがでしょうか。